糖尿病とは何か?

2023年5月25日

当たり前の話なんですが、「これから糖尿病を治療する」という時に、そもそも「糖尿病とは何か?」ということを理解していなければ治療などできる訳がありません。
バイクがパンクしたのに、そもそも「パンクとは何か?」を知らなければ修理のしようがないのと同じことです。


とは言え、一般の糖尿病患者で正確に「糖尿病」を理解している人はほとんど稀で、あまつさえ一般の医師ですら怪しかったりします。
例えば、日本医師会による医師のための強化研修会の資料には何と書いてあるかと言いますと、


Q:糖尿病とはどのような病気?


A:血糖値が高い状態が持続することにより、様々な合併症を引き起こす。


というような恐るべき低レベルのことが書いてあります。
(ちなみに、これは糖尿病専門医ではない内科医などに向けた研修です。)


一般の内科医の研修会がこれですから、普通の患者が正しく理解できているとは到底思えません。
せいぜい、「血糖値が上がって合併症になる病気」という、これと同じ様な理解でしょう。


しかしながら、「高血糖」というのは病理学的に言えば、糖尿病の症状の一つに過ぎません。
糖尿病の主な症状というのは3つあって、



1.高血糖

2.タンパク質分解亢進

3.脂肪分解亢進



これらの症状は慢性的に持続すると、更に糖尿病が憎悪するという悪循環になり、様々な合併症の原因となります。
例えば、神経細胞というのは糖の取り込みにインスリンの作用を必要としないので、高血糖になると必要以上に糖が流入し、結果的に神経細胞の機能障害を起こし、糖尿病性神経障害につながります。


タンパク質の分解亢進は、体重の減少、筋肉の減少を招き、ますます身体は糖を取り込めなくなります。
高齢者においてはサルコペニアにつながります。


脂肪分解亢進は、身体全体を過剰な脂肪酸に晒すことになり、炎症を惹起する原因となり、臓器不全や動脈硬化につながります。


病理学というのは、読んで字の如く、病気を理論的に説明する学問のことで、病理学的には糖尿病は何と定義されているかと言いますと、


インスリンの分泌不足、あるいは標的臓器でのインスリンの反応性低下により、多尿等の種々の症状が発現する糖質代謝異常。


「病理学総論-14.代謝性疾患」より


と定義されています。


つまり、糖尿病というのは、ひと言で言えば「糖質代謝異常」、もう少し解り易く言えば、インスリンの機能的低下により、細胞が糖を取り込めなくなる病気、ということです。
(「インスリンの機能的低下」というのは、インスリンの分泌不足、あるいはインスリン抵抗性がある状態ということです。)
そして、細胞が糖を取り込めなくなることによって、上記の3つの症状が起きる訳です。


ですから、「インスリンの機能的低下が改善し、細胞が糖を取り込めるようになること」を糖尿病の改善、寛解、あるいは完治というのであって、それ以外に改善も何もありません。


つまり、糖尿病の改善、寛解、完治を目指すのであれば、高血糖、タンパク質分解亢進、脂肪分解亢進という諸症状に対処しつつ、インスリンの機能低下を改善し、細胞が糖を取り込める身体にしなければならないのです。



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